2010年10月9日土曜日

「核心的利益」はすでに通告

◆膨張国家、中国の怨念  その7

   中国の島嶼(とうしょ)奪取のやりかたはひとつのパターンがあります。それは領有権のはっきりしない島、領有権が争われている島に目をつけます。それは過去、中国が何の関わりもない島でもいいのです。距離が遠くてもかまいません。要は実効支配がされていない島に目をつけます。

   次にその島の領有権を主張している国が衰えるか、逆に中国側が優勢になるのを待って国内法を改正し、自国領土と宣言してもっとも近い省市の所属と決めます。さらに関係国をはじめ欧米諸国に国家の領土保全にとって最も重要な「核心的利益」に位置付けたと外交上の圧力をかけます。「核心的利益」とは中国独特の表現で、国家の本質的利益に直結することを意味し、妥協を拒む、というものです。

   そして漁船団や艦艇を派遣、もめごとを起こさせます。事態をさらに発展させ挑発して、艦艇で相手国艦艇を撃滅、地上部隊を上陸させて実効支配を確立します。さらにコンクリート製建物などを建築、ゆるぎのない占拠を確立します。西沙諸島占拠のときは南ベトナム海軍を破ったことは10月5日付の記事で書きました。

   新南群島占領のときは統一後のベトナムが統治していた赤瓜礁で1988年3月14日、ベトナム側が先に発砲したとして艦砲射撃,ベトナムの揚陸艦など3隻を撃破しました。いわゆる赤瓜礁海戦(あかうりしょうかいせん)です。ベトナムが経済危機に陥った時期で国力が衰退していました。中国側は南海艦隊楡林基地(海南島)参謀長の陳偉文少将が,江南型フリゲイト南充(満載排水量1600t)を旗艦に直接指揮を取った、といわれています。偶発事件でなく意図的な挑発です。この戦闘で、ベトナム水兵70名以上が戦死。それ以降、赤瓜礁は、中国が占拠しています。

   尖閣諸島では「核心的利益」通告の段階は過ぎ、漁船団によるもめごとの段階まできてしまいました。海上自衛隊の勢力より中国海軍の力が上回っている現在、武力行使は当然、予想されるのです。日本政府はどう対応しようとしているのでしょう。南ベトナムや統一後のベトナムが中国にやられてしまった二の舞をするのでしょうか。それとも中国は竹島型の不意打ち占拠をするのでしょうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿