2010年10月21日木曜日

儒教、共産主義補完の道具に

   12日に予告していましたように毎週水曜日は休刊日とさせていただいています。昨日も水曜日で休刊とさせていただきました。ありがとうございました。中国の反日デモは香港メディアによるとやはり官製デモでした。そろそろ本題に帰って「現代中国共産主義は儒教共産主義だ」というテーマを解説したいと思います。

◆ 膨張国家、中国の怨念 その13

  少し古い話になりますが1979年、曲阜(孔子生誕の地)の孔子廟が再建されました。儒教が宗教なのか道徳思想なのか現代もその見解は分かれますが、「天」の存在を道徳律の前提にしているところからみて、やはり宗教的側面はあると思います。共産主義は宗教を完全否定します。中国共産党も「宗教はアヘンだ」と断定しています。その中国で宗教的側面が濃厚な儒教の総本山ともいえる曲阜孔子廟を復活させるとなると、共産党が儒教を非公式に公認したものといえます。それに相前後して各級学校で儒教経典が公然と読まれ始めました。 知識人・学者の多くが儒教を共産主義より大切なものとして扱い始めています。一部の人は儒教を政治改革の手段として考え、共産主義・民主主義に代わる理念として期待感を寄せているそうです。これに対し中国共産党は何らの締め付けや規制をしていません。

   知識人の中には、はっきりと「儒教を国教とすべきだ」とまで主張する人もいます。国教でなくとも、中国政府と儒教の関係がいかなる形式であれ公式化される可能性が高い時期にきています。もし中国政府と儒教の間に連結が生じれば、これは中国だけでなく、国際関係に途方もない変化をもたらすことになりましょう。

 いま中国政府は儒教を限界にぶつかった共産主義を補完する国民和合の道具にしようとしているのが確実です。色あせた共産主義が広げてしまった心の空間に、キリスト教や国粋主義、法輪功勢力が入り込もうとするのを防ぐという考えです。さらに儒教は中国政府にとって国内用だけでなく反共意識の高い欧米に対する防御兵器にもなりうるのです。

 儒教復活劇は実は当局公認によるもので、中国共産党自体が積極的に推進しています。 その理由は3つ あります。
 
 1、道徳教育の強化と体制維持
 2、中華圏統合の旗印にする(大陸・香港・台湾及び世界の華僑・華人)
3、国際社会に対する「孔子ブランド」の利用


明日はこの伝統的倫理の復活劇について書きます。

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