2010年10月19日火曜日

つくられた官製デモ

   4日間もお休みをいただき、ありがとうございました。おかげさまで名古屋での生物多様性条約国際会議民間展示物お守り役を十分果たせ、各地のNPO、NGOとの交流も大成功に終わりました。ありがとうございました。本来ならば儒教共産主義の続きを執筆する予定でしたが、この4日間で事情は大きく変わりました。対日デモの発生です。本日は予定を変更、この対日デモの本質を探りたいと思います。ご了承ください。

   ◆膨張国家、中国の怨念 その12

   成都など中国4都市で反日デモが発生、一部では日本車をひっくり返したり、日系スーパーの窓ガラスを壊したりしたそうです。日本メディアはインターネットなどを使った呼びかけに応えた自然発生的デモのように伝えていますが、香港など海外メディアを総合すると、やはり官製デモのようです。官製デモといっても政府が動員をかけたデモではなく、公安や共産党が「デモをしても構わないよ」というシグナルを欲求不満学生などに送り、計画通りのデモが起こりました。しかし勢いづいてしまい、一部は暴徒化したものと見られます。これも政府側からみれば計算通りの暴徒化でしょう。

   中国政府がどうサインを送ったか、日本では 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件についてし、民間団体「頑張れ日本!全国行動委員会」(田母神俊雄会長)などが16日、東京都港区で中国政府に抗議するデモ行進をし、中国大使館前で抗議文を読み上げました。警視庁によると参加したのは約2800人。特に混乱はなかったようです。私も映像を見ましたが、暴力行為などはまったくなく、整然としたもののようでした。

   中国政府は事前にデモ計画を入手、同じ日に対抗デモを企画したようです。それも海洋とはまったく関係ない内陸部の成都など4都市を選びました。首都北京や沿岸部の大都市上海でデモを許すと反政府デモに転化する恐れがあり、収拾できなくなる、と判断したようです。本物の自然発生的デモなら情報量の多い北京か、人口、大学数の多い上海で起きるはずです。それが海とはまったく関係ない内陸部で発生した理由といえましょう。

   学生側もデモをしたい要因が備わっていました。社会への強い欲求不満です。日本では大卒者の就職率は9割もありますが、中国ではせいぜい6割。北京大学という名門中の名門を卒業しても党や政府にコネがなかったら就職は無理、というのが通り相場です。ましてや成都や西安など地方大学ではせいぜい就職率4割というのが実情です。それも賄賂を贈ったり地方政府とのコネが要求され、民間企業でも党推薦の学生を優先採用する、というのでは学生側も不満が高まります。

   就職問題だけでなく貧富の差による教育差別、学校間格差、貧農に閉ざされる受験制度、無きに等しい奨学制度、アルバイトをしても食えぬ学生生活など日本では信じられないような社会矛盾が学生生活を覆っています。社会への反抗心が起きるのは当然といえましょう。そこに来たのが「反日ならデモをしてもいいよ」という行政当局からのシグナル。憂さ晴らしができる面白い話に飛びつくのは当然です。

   学生にとって「戦前は日本人が住んでいた島」などの尖閣諸島の具体的情報はまったくありません。小中高、そして大学で教えられた反日教育を鵜呑みにしているだけです。各地につくられている反日博物館の影響もあるでしょう。反日なら公安や党からの圧力はありません。13日ごろから行進ルートなどデモ参加を促すネット上の呼びかけがあったと朝日新聞などは報じています。こうして「自然発生的に」デモは発生したのです。しかしいつ刃が政府に向けられるかもしれませんから徹底した監視、規制下で行われたことは言うまでもありません

   我々日本人としては冷静に事態を見つめるのがよいでしょう。日本への実害はまったくありません。日本製自動車がひっくり返された、というのもおかしな話で、中国は外国製乗用車輸入を禁止しています。ひっくり返されたのは日本との合弁事業で中国国内で生産された中国車です。その企業で働いているのは中国人であり生産利益も出資比率に合わせて中国側のものです。日系スーパーも働いているのは中国人であり、商品もほとんどが中国製です。日本側の関わりは経営のノウハウだけ、といっていいでしょう。実害は中国に行くのです。その当たりのことも分からぬ中国のデモは底の浅いものです。

   整然とした日本側のデモ、荒れた中国側のデモ。お国柄が見てとれるようです。 

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