2010年5月15日土曜日

生存への技術革新

 ◆弱いグループが世界に進出?

「国際的日本人」というタイトルに反して?長々とイブ誕生から縄文まで書いてきましたが、これは縄文人が現代日本人の肉体、精神、心理の基層をなしていることから、日本人というものを考える場合、縄文を抜きにしては成立しないからです。ここからは日本人の性質、意識の根源にあるものは何か、ということを考えてみたいと思います。

 ところで最初にも申しましたように現生人類の祖先はアフリカの大地溝帯に生まれたたった一人のイブです。たった1人の母親から65億人もの現生人類に増えていったわけです。人類が一定程度に増えた後、スエズ地峡付近を通って何派にも分かれて。ユーラシア大陸への移動、いわゆる脱アフリカが始まりました。理由は分かりませんが、人口が増えすぎて大地溝帯では養えなかったからでは、と推察されます。その場合、力の強い集団は現地に残り、弱い集団が追い出されたのでは、とも考えられます。そうするとアフリカの黒人は強い集団の末裔で、ユーラシアに逃れたのは弱い集団だったのでは、との推定も成り立ちます。現に同一栄養価、同一社会的条件化では黒人系の運動能力は非常に高く、アベベを初めとして多くのオリンピックの上位入賞者がいますし、アメリカのプロ野球、プロフットボ-ルは黒人選手が目立ちます。

 中近東からユーラシア大陸に移動した「弱いグループ」が遭遇したのはネアンデルタール人との混血です。そこでどんな遺伝情報が得られたのかは今後の研究を待たねばなりませんが、、優勢遺伝の原則からは人類が発展していくよい遺伝情報を得た可能性があります。中近東から東西に分かれた人類はさまざまな環境変化に遭遇しながら全世界に散らばっていこことが出来たのもそれが原因かもしれません。もちろんで多くのグループが氷河期、食糧難、伝染病などで絶滅していったと考えられます。しかし日本人のご先祖様はこれらの環境変化に適応し、現在の日本人を作り出したのです。

 ◆劣悪な条件に適応

 脱アフリカ以降も人口増、あるいは環境変化によって弱いグループが強いグループに次々居住地を追われ、世界の果てまで流れついていったことがよく理解されます。しかし追い出されたグループは新環境でたくましく劣悪な条件に適応していきます。縄文人のご先祖の古モンゴロイドは狩猟採集の中近東を追われたあとシベリアのバイカル湖付近に定住し、ブリヤート人となりました。

 シベリアには、氷河期ではありますが、短い夏の草原があり、マンモス・ライオン・サイ・トナカイなどの大型動物がいました。彼らは石をたたき割り整形し、くさび型にして、さらに縁に棒をあてハンマーでたたいて、薄い石器を作りました。細石刃(さいせきじん)です。長さ2~3cm、幅5mm、厚さ1~2mmという大きさです。細石刃を角でできたやりの先の両側にたくさん取り付け、集団で狩りをしました。本格的な狩猟民族に変化したわけです。現在の原子力にも匹敵する大技術革新でしょう。生存への技術革新に拍手を送りたいですね。

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