2010年5月27日木曜日

南太平洋に縄文土器

◆成分は青森県産

昨日までのブログで縄文時代の交易は日本列島各地に及んでいたことを書きましたが、実は南太平洋にまで及んでいることが分かっています。ただ学会は事実関係は認めつつもあまりにも奇想天外な事柄であるため、半分無視しているのが現状です。

 事実はこうです。今から半世紀ほど前、日本から6,000kmも離れた南太平洋上のブアヌアツ共和国エファテー島の遺跡で、フランスの考古学者ジョゼ・ガランジェ博士が、この地方から珍しい土器を13~14片を発見したと論文で発表しました。それを見たハワイ・ビショップ博物館の篠遠喜彦博士がそれは「縄文土器」であることを指摘されました。さらに東北大学名誉教授芹沢長介博士が詳細に追跡調査の結果、日本の縄文時代早期の円筒下層C式・D式に非常に似ている、と研究成果を発表しました。

 その後1993年に篠遠博士とアリゾナ大学W・デイキンソン博士、サイモン・ブレイザー大学R・シャトラー博士が共同で、土器の科学的分析をした結果、驚愕の結果が出ました。年代測定は「熱ルミネッセンス法」により測定したところ約5,000年前(縄文前期末)~約4,500年前(縄文中期末)に作成されたものと分かりました。土器の成分分析では、ブアヌアツには存在しない鉱物が認められ、その成分は青森県内出土の縄文土器と質、量、技法などが一致し、縄文土器そのものである と判明したのです。

 「エファテーの縄文土器」は縄文土器に似ているのではなく、古代日本の縄文土器が運ばれたものだったのです。さらに太平洋上の他の地域、ポリネシア、ミクロネシア、硫黄島、ニューカレドニア、パプアニューギニア、イースター島にも縄文土器らしい土器破片が出土したと伝えられます。


 それだけでなく朝鮮、シベリア、アリューシャン列島の遺跡からも僅かですが縄文土器らしきものが出土しています。これらの土器を一刻も早く成分分析にかけ日本列島産なのか現地産なのを解明してほしいと思います。それにしてもどうやってこれら遠隔地に運んだのでしょう。長さ10メートルの丸木舟ではとても納得できません。帆走した、という考えも成り立ちますが、縄文遺跡からは帆柱跡のある丸木舟はまだ見つかっていません。謎は謎を呼んでいます。ロマンをかき立てますね。

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