2010年8月3日火曜日

政治犯でシベリア開発

  ◆戦後、植民地を返さかったソ連 その5

  ロシアがアジアから撤退しない理由。それは「渡すべき相手がいないからだ」といいます。征服された諸汗国の後継となるべく実体は現在ではまったく存在しませんし、原住民の数が極めて少ないのです。アムール川沿いに住むナナイ人も総数が1万2000人くらい。これはロシア・ソ連が原住民を抑圧し続けた結果と性病、天然痘など各種の病気を持ち込んだため大幅に人口が減少したといわれます。かつて汗国を打ち立てたツングース、モンゴル系の人々は国を確立するだけの人口が今やないのです。


 ◇肉体労働を実践したロシア人◇

  シベリアに進出したロシア人の特徴は自ら肉体労働を実践したことにあります。アジア、アフリカに殖民した米英仏蘭のやり方はプランテーション(先住民や隷属した有色人種などの安価な労働力を使って単一作物を大量に栽培する大規模農園)経営を行い、自らは肉体労働をしなかったのです。ところがロシア人は森林伐採でも農場開墾でも自ら肉体労働に従事、原住民を奴隷化することはしませんでした。原住民には代わりに毛皮税を課しました。奴隷とするより毛皮を納めさせた方が収益が上がったのです。原住民は自らが着る毛皮も無くなるなど苦しみましたが、自由のある方が民族の誇りを保てました。


  しかしそれでは労働力が足りません。労働力を補うためにロシアもソ連も大量の囚人、特に政治犯を送り込みました。囚人を得るために政治犯を作った、といえるくらい大量の政治犯を送り込んだのです。いわばシベリアは囚人が切り開いた土地ともいえるのです。その囚人は服役後、郷里に帰る術もなく現地に居つきました。それだけにロシア人はシベリアへの愛着が強く、米英仏蘭のように植民地から撤退する発想は皆無に等しかったのです。

   ◇奪い取った領土の返還を◇

  ではロシアは迷惑をかけたアジア諸民族に対してどうすればいいのでしょう。18世紀以前はともかく近代に入って奪った土地は返還すべきでしょう。日本に対しては千島諸島、歯舞色丹を樺太・千島交換条約の精神に戻って返還することです。代わりに日本は南樺太に対する主権は放棄します。終戦後、不法抑留した日本人軍民と財産に対して補償します。これは金融不安下とはいえ石油景気にわく現在しか出来ない事業です。資金がないなら石油。天然ガスなどで物納すれば済むことです。そして日本とロシアの両国に、不法に強制抑留したことを詫びるモニュメントを建立することです。

  明日は植民地を放棄しない代わりに中国、モンゴル、シベリア原住民に対する謝罪と補償について書きますが、これはこれまでどなたも発表したことがない画期的な提案です。それだけにロシアとしてはとうてい受け入れることのできないものでしょうが、ロシアは大国としての度量を示すべきだと思います。明日をお楽しみにしてください。

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