2010年8月27日金曜日

非現実的な艦隊1列作戦

◆韓国、日本原発を狙う巡航ミサイルを配備 その15


   韓国の巡航ミサイルに対し自衛隊はもう少し抵抗能力を持っていることを示唆しました。実際にはどの程度、抵抗能力を持っているのか、実戦で役に立つのか調べてみたいと思います。巡航ミサイルを撃墜する能力を持つのはこれまで述べてきた陸空自衛隊の対空ミサイルのほか、護衛艦のスタンダードミサイル、戦闘機のF15、F4、F2があります。今回は護衛艦について考えてみたいと思います。

   護衛艦による原子力発電所防御の考え方は2つあります。巡航ミサイルが飛来する日本海や対馬海峡にづらり1列に護衛艦を並べる方法。もう一つは原発の沖合いに1-2席の護衛艦を配置してミサイルを撃墜する方法です。まず護衛艦の能力ですが、護衛艦の持っている対空ミサイルは個艦防御用のシースパローと艦隊防御用のスタンダードミサイルです。シースパローは自艦に向かってくる航空機やミサイルを撃墜するもので、射程は26 km程度。韓国の巡航ミサイルが自艦の真上を通過するならともかく、原発攻撃ミサイルはとても迎撃できません。

   スタンダードミサイルは射程約40~80キロで足が長く他艦に飛来した航空機やミサイルを打ち落とす能力を持っています。護衛艦隊48隻のうち23隻程度がこのミサイルを所持、あるいは搭載可能と推測されます。

  さて護衛艦の運用ですが、通常①実戦配備②半実戦半訓練配備③教育・訓練④ぎ装、補給、修理―の4サイクルを交代で回しています。非常時には教育・訓練を省いて実戦に回せますが、そのスタイルは長く続けられません。

  横1列に日本海、対馬海峡に護衛艦15隻並べると配備するとして、1隻当たりの平均守備距離を90キロとするなら、総延長は1350キロ。これでは西端を済州島沖に置くと能登半島沖で切れてしまいます。これでは迂回コースで自由に日本列島に侵入できます。また韓国は最新鋭の対艦ミサイイルを装備していますから、単艦防御になる護衛艦を1-2隻沈めておいてその隙間から巡航ミサイイルを侵入させることができます。

   実はこの1列配備は非現実的なのです。韓国は巡航ミサイル潜水艦を3隻以上所持しています。同艦に積む巡航ミサイル天竜は射程距離1300キロもあります。海上自衛隊としてはまず対潜作戦に全力で取り組まなくてはなりません。とても横1列作戦に回せる隻数がないのです。

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