2010年8月14日土曜日

56個しかない射撃単位

◆韓国、日本原発を狙う巡航ミサイルを配備 その4


   自衛隊の能力で果したて玄武3B、3Cへの対応能力はあるのでしょうか。自衛隊員の個々の能力、組織力は高いと思われますが、平和ボケした自民党、民主党政権下で絶対数を削減された姿が垣間見えます。巡航ミサイルに直接対処できるのは航空自衛隊のパトリオットミサイル、陸上自衛隊の03式中距離地対空誘導弾です。ほかにジェット戦闘機や護衛艦がありますが、これは別途書きます。

   まず空自のパトリオットですが、航空機、大気圏内ミサイルを撃墜するPAC2型と弾道ミサイル相手のPAC3があります。米国の発表では、1990年の湾岸戦争の際のPAC2の迎撃成功率は、イラクからサウジアラビアへ発射されたミサイルに対しては70%、イスラエルへ発射されたミサイルに対しては40%です。PAC3の迎撃率は正式には発表されていませんが、米国の研究者のレポートなどでは、50%とされているそうです。PAC3はまだまだ開発途中の、未完成な兵器なのです。

   パトリオット・ミサイル発射システムはトレーラー移動式のシステムで、1つの射撃単位はパトリオット高射隊(米軍では中隊という)によって運用され、射撃管制車輌、レーダー車輌、アンテナ車輌、情報調整車輌、無線中継車輌、複数のミサイル発射機トレーラー、電源車輌、再装填装置付運搬車輌、整備車輌という10台以上の車両により構成されます。これらの車両が自走して発射拠点に設営後、射撃体勢が整のいます。

   日本では1989年(平成元年)度から航空自衛隊の高射部隊に地対空誘導弾ペトリオットとして配備が開始されました。実働部隊の6個高射群24個高射隊(各高射隊は5機の発射機を有す)と教育支援部隊の高射教導隊が、北は長沼町(北海道)から南は南城市(沖縄県)にかけて配置されています。弾道ミサイル迎撃用のPAC3について2007年3月30日に埼玉県の航空自衛隊入間基地に所在する第1高射群第4高射隊に最初に配備されました。全高射群に配備される予定です。配備される各高射隊の発射機のうち2機がPAC3弾の搭載・運用に対応します。

  弾道ミサイル迎撃用のPAC3は巡航ミサイルに対しては50%程度の迎撃率しかないようですが、改良が続けられており、空自ではもう少し性能がアップしているのではないか、とも言われています。

  陸上自衛隊の03式中距離地対空誘導弾は改良ホークの後継として2003年度(平成15年度)に制式化され、陸上自衛隊の方面隊隷下の各高射特科群の高射中隊を中心として配備が進められています。パトリオットと同じような車両構成となっています。射撃単位は1個中隊です。陸上自衛隊の1個高射特科群は4個高射中隊からなり、8個群が03式中距離地対空誘導弾に更新される予定です。これが実現すると32個高射中隊が誕生するわけです。1個群の価格は約470億円で、同規模のペトリオットの調達価格約850億円より低く抑えられているのが特徴です。しかし、21世紀以降の急速な財政悪化による防衛予算の削減で遅々として配備が進まず、巡航ミサイルに対し対応力が危惧される改良ホークからの更新が進んでいないのが現状です。射撃単位としては整備が完了しても陸空合わせて56個しかないのです。さてこの装備で日本の55基の原発が玄武から守り切れるでしょうか。

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