2010年8月4日水曜日

満蒙人のシベリア移住を

 ◆戦後、植民地を返さかったソ連 その6

  シベリア占領に対する謝罪と補償をロシアはどう実現するか、これを考えてみたいと思います。中国に対しては今となっては外満州を返還するわけにはいかないでしょうから、せめてロシアと中国の共同管理に置かれている大ウスリー島(中国名:黒瞎子島・アムール川とウスリー川の合流点にある島で中ソ国境紛争の係争地となった)を中国に帰すべきでしょう。同時に外満州を奪ったことを謝罪する巨大な石碑を適当な場所に設置すべきです。それはあのアムールスキーの巨像より大きくしなくてはいけませんね。それと同時に満州人(女真人・清人)、モンゴル人、ツングース系諸民族に対しては国籍を問わずシベリア入植を原則無制限に認めることです。

 ◇減少する白人人口◇

  実はシベリアにおけるロシア人(白人)の人口は急速に減っているのです。地図上には名前が残っていても無人集落が激増しています。ロシア人は極寒に強いようでも元々はドン川流域の暖かい麦作地帯の出身で、南方に憧れています。共産政権時代と違い定年退職するとロシア南部に移住する人が増えています。それにも増して産児制限が自由に行われていることから少子化がどんどん進み、白人人口が減っています。資本主義の導入で、職業選択の自由、居住地選択の自由が生まれたところから職の少ないシベリアから工業化が進展しつつあるヨーロッパロシアに移住する若い人が増えています。何よりも共産政権時代はシベリアは割り増し賃金が払われていたのですが、今はウラル山脈の東と西では同一賃金化が進んでいます。にもかかわらず物価は輸送費のかかるシベリアの方が高いのが現状です。


  それどころか工業化が進むヨーロッパロシアの方が賃金が高くなりつつあります。トヨタ自動車が進出したのも日本に近く部品供給の楽な沿海州でなくて、工業集積が進みつつあるモスクワ郊外でした。シベリアでは居住者は公務員とその家族だけ、という町が増えつつあるそうです。つまり軍人、警察官(国境警備隊など)、測候所職員とその家族という町です。白人人口が減るのも当然といえましょう。

  ◇活力失う満蒙民族◇

  こうした空洞化したシベリアに中国、モンゴルなどからの移住者を認めるべきなのです。もちろんそれには漢族、朝鮮人などもともとシベリアに住んでいなかった民族は入れる必要はありません。新植民者の新国籍はロシアでもよく出身国でもよく、場合によっては二重国籍を認めても構いません。要は元の”住民“が帰れるようにすればいいのです。それが被圧迫民族に対する心理上の謝罪といえるでしょう。ロシア人がいなくなったところに帰るのですからロシアとしての痛みも少ないはずです。

  しかしこの案は現実的には成り立たないのかもしれません。それは移住すべき満州人、モンゴル人、ツングース系諸民族が活力を失い、彼ら自身も人口が減少しているのです。清帝国を築いたあの満州人でさえ、文化的側面を残した満州人はわずか数千人との指摘もあります。これではとても新植民地形成は成り立ちません。ではどうすればいいのでしょう。名目的なものでいいですから満州人などの移住を認めるべきなのです。こうすれば心理的にも敵対感が薄れていくでしょう。


  ロシア政府としてもこの案はロシア全体の人口減を食い止める絶好の案なのです。もっともロシア政府内部に「ロシアは白人国家でなければならない」という合意があるなら別ですが、ロシアは建前上「民族差別はしない」ということになっているはずです。名目的な案ならロシアしても受け入れやすいでしょう。ロシア政府の英断を求めたいものです。最終目標は民族間の敵対意識消滅にあるのですから。

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