2010年8月30日月曜日

護衛艦を原発沖に

◆韓国、日本原発を狙う巡航ミサイルを配備 その16

   次に護衛艦を各原子力発電所沖に貼り付ける作戦を説明しましょう。前回、述べたとおり、原発を防護できる対空ミサイル積載護衛艦はスタンダードミサイルを積んだ23隻前後です。これに対し原子力発電所は休止中を含めて19個所あります。しかも護衛艦の運用は補給などの必要があり、最大限でも15隻程度しか稼動できないことは前回、お話しました。そうすると4隻分、不足することになります。

   さらに護衛艦を巡航ミサイル潜水艦対策に相当数が割くとなると原発防護は数個所にとどまってしまいます。おまけにミサイルが陸地から来ると迎撃不能になる可能性が強いのです。地対地巡航ミサイルは地形照合システムで飛来します。谷間伝いに来られるとミサイルキャッチがかなり困難になります。

   たとえば中国電力の島根原子力発電所を例に取ります。同原発は松江市鹿島町片句にあります。島根半島の日本海側で、反対側には宍道湖が広がっています。私が韓国玄武ミサイルの指揮官だったら次のような作戦を立てます。島根原発の西側約22㌔には航空自衛隊高尾山分屯基地があり第7警戒隊が配置されています。いわゆるレーダー基地で日本海や中国地方1円の上空を監視しています。

   一方、島根原発西南西約200キロの見島には航空自衛隊見島分屯基地(山口県萩市見島)があり第17警戒隊が配置されています。ここもレーダー基地です。日本海側から攻撃すれば当然、両警戒隊に発見され、迎撃を受ける可能性があります。ところが両警戒隊の中間には中国地方最大の河川、江の川が日本海に流れ込んでいます。地球が丸いことからレーダーは約30キロ先からは水平線下は見えません。江の川河口は両警戒隊からはそれぞれ約110キロ離れており、巡航ミサイルは海面すれすれに飛びますから発見されることはありません。ただ高尾山レーダー基地は海抜328メートルの高地にあり、その分だけ監視距離は伸びます。

   さて韓国指揮官としては海面すれすれに玄武ミサイイルを飛ばし、島根県江津市で江の川河口に飛び込みます。うまくいけばレーダーには発見されません。あとは江の川に沿って広島県三次市に入ります。ここで左折、谷間を走るJR芸備線沿いに飛び、国道54号線から宍道湖に入ります。ここが一番危険なところで、高尾山レーダー基地に補足されてしまいます。レーダー基地では当然、沖合いの護衛艦に情報を伝えます。巡航ミサイルはさらに佐陀川に入ってレーダーから逃れ、一気に島根半島の尾根を越えて島根原発を襲います。尾根越えから島根原発までわずか0.5秒。どうあっても護衛艦のスタンダードミサイルは間に合いません。高尾山レーダーが宍道湖上で発見してからでも命中までわずか18秒。高尾山から情報を得ても護衛艦としては玄武の予想進路を割り出すのは困難です。おまけにスタンダードミサイルは艦が出すレーダー波が目標(玄武)に当たり、その反射波をスタンダードがキャッチしてその方向に飛ぶ、という仕組みになっています。わずか0・5秒では対応の仕様がありません。

 ただ最新のスタンダードは命中する直前にレーダー波を受ければいい仕組みになっており、護衛艦側で進路のコントロールを十分にできれば、あるいは迎撃が可能かもしれません。いずれにしても陸地側から来られれば原発防御は至難の業です。特に一度に100発もの玄武が飛来すれば護衛艦はたちまち弾切れとなり対応のしようがありません。

 このように護衛艦による原発防御には限界があります。では戦闘機ではどうでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿