2010年8月15日日曜日

対空ミサイル配置の用地なし

◆韓国、日本原発を狙う巡航ミサイルを配備 その5

 射撃単位として空自のパトリオットは24個、陸自の03誘導弾は32個、併せて56個射撃単位が整備されつつある、と前回書きました。それに対し防衛すべき原発は55基あります。1基1射撃単位を配備すれば数は合うのでは、と考えがちですが、実情は大きく違います。原子力発電所には通常、複数の原子炉があり、柏崎刈羽原子力発電所のように7基も持っているところもあります。原子力発電所としての総数は18箇所で、休止中も含めると19箇所あります。休止中のところも原子炉内には放射性物質が入っているので、当然、防御すべきなのです。要は56射撃単位で19箇所の原子力発電所が完璧に守れるか、なのです。1箇所でも失敗すると半径200―300キロは人が住めなくなります。

  さてその射撃単位なのですが、現時点で原子力発電所防御のために配置されているのは1個もありません。首都機能、主要都市防御として配置されており、公式文書には明らかにされていませんが、米軍機能を守るための配置もあるようです。官僚脱皮・政治優先を掲げる民主党政権の国防部門(果たしてそのような組織があるのかどうか疑わしいくらい)では、漏れ承るところによると、対空誘導弾による原発防備の思想はまったくないようです。このあたりのことについて情報をお持ちの方は是非、ご連絡ください。

   繰り返しになりますが韓国の玄武ミサイルは非核弾頭なので命中してもその施設を破壊することだけに留まります。たとえ首相官邸が攻撃されても官邸が破壊されるだけでそれ以上の影響力はありません。しかし原発が攻撃を受けると核攻撃を受けたと同じ惨状になり、炉心そのものが核分裂を起こせば近くの都市は消滅、2―300キロ圏は無人地帯になるでしょう。首都機能防護より原発防護がなにより優先されるべき課題なのです。しかし民主党政権ではそのことを議論した様子もありません。

  幸いなことに陸空とも射撃単位は移動式です。昨年の北朝鮮ミサイル発射実験のさいはパトリオットが船で秋田県に運ばれ発射態勢に入ったことは記憶に新しいことです。非常時には射撃単位を原発に貼り付ければ相当効果がありそうです。記者はこれまで国内18原発のうち島根原発など7原発を視察、見学しました。しかし射撃単位を収容できそうな空き地を所持している原発はありませんでした。射撃単位は発射台トレーラーなど10数両の大型車両で構成されています。さらに発射の時は燃焼ガスが広範囲に噴出されます。どう考えても小学校の校庭の数倍程度の空き地が必要です。秋田県にパトリオットが展開したときも自衛隊の基地(演習地?)内に収容されました。

  またレーダー車両は見晴らしの良い所に配置しないと、地形に沿い地表面すれすれに飛ぶ玄武ミサイルをキャッチすることはできません。各原発にそれらの用地が確保されていることは疑わしいものです。非常時になってあわてて原発近くの松林を伐採するようではとても間に合いません。どうすればいいのでしょうか?

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