2010年6月2日水曜日

どうやって丸太の半割を作るの?

 ◆石の楔を打ち込みます

 5月25日付の本ブログ「人類初期文明の1つ」に下記のようなコメントが寄せられました。

「丸木舟の製作方法は木材を半割りしたものの上に、焼いた石を置いて木材を焦がしながら、磨製石斧でくりぬいたものと推定されています」とありましたが、どうやって半割が出来たか分かりません。

         浩太郎

 浩太郎様 コメントありがとうございました。縄文人がどうやって丸木舟を建造したか、への疑問です。丸木舟は直径が1㍍、10人乗りもの大きな物もあります。その丸太をどうやって半割りにしたのか、その方法が分からぬ、というのがコメントの趣旨です。私も質問を見て「オヤ!」と思いました。さっそく、手持ちの文献を調べてみましたが私を納得させるような資料がありません。そこで直径1㍍もある丸太をどうやって半割りにするのか思考実験をしてみました。答えは意外に簡単にみつかりました。皆様はキャンプなど遊びではなく生活のための真剣な薪割りをしたことがあるでしょうか。50代以下の方は少ないと思います。子供のころ風呂やカマドの薪を作るのが私の仕事でした。薪を作るため木の性質を知ったのです。木は縦には割合簡単に割れますが、横にはまず割れません。ノコギリも横引きのものは目が細やかで、縦引きのものは目が粗くできています。ナタでも縦方向は簡単に木は割れますが、横方向だと徐々に削っていくことしか出来ません。

 縄文時代の丸木舟建造の場合も同じです。丸太は根元の方を元、葉がある方を末と申します。丸太を半割りにするには末の切断面に磨製石器の丸ノミ石でⅤ字型に溝を作ります。そこに楔型(くさびがた)の石を溝沿いに挟み込みます。直径が1㍍もある大きな丸太なら何個も楔形の石を挟みます。そして合図とともに石の数だけの人間が別な大きな石で楔形の石をたたきます。そうすれば徐々に割れ目が拡大して元まで届き、丸太を半割りにすることが出来るのです。

 これは思考実験です。実際にそうやって直径1㍍もの丸太を割った訳ではありません。どなたか実験考古学の手法を活用して丸太の半割りに挑戦してはいかがでしょう。立派な研究論文が出来ると思います。

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