◆人間とともに移動
5月下旬に犬を愛した縄文人、犬を食べた弥生人の話を書きましたら多くの
反応が返ってきました。そこで犬のことをもう少し書きます。
縄文人の犬を食べない風習は、彼らの先祖が古モンゴロイドで、直接的には
ブリヤート人であったことが遠因といえます。ブリヤート人など北方系ツング
ースや古アジア、コリヤーク、モンゴルなど北方系のすべての民族に共通して
いるは「犬祖伝説」です。狩猟民族であった彼らは自分たちの祖先が犬から生
まれたと信じ、犬を大切にします。しかもバイカル湖付近の北方系狩猟遊牧民
族は地球が寒冷化したときに、一部が動物を追って南下し南部中国やインドシ
ナ北部の少数民族なった可能性があります。彼らの風習も犬をとても大切にし
ます。中国をは挟んではるかに離れた民族が共に犬を大切にする、という共通
した風習を持っているのです。ということは北方縄文人は北方系古アジア民族
系統から生じ、九州縄文人は中国南部、インドネシア北部の少数民から生じた
ということになるかも知れません。つまり南方の少数民族の伝承の大元はバイ
カル湖付近の民族にあった可能性があります。
ちなみに南方系縄文人の色合いが強いとみられる宮崎県椎葉村の山猟師も、
北方系縄文人の血が濃いと考えられる東北のマタギも、ともに犬を非常に大事
にし、イノシシや鹿を撃ち取り解体したときは、必ず最初に動物の肝を最も狩
に貢献した犬に与えるそうです。これらの民族のDNA分析が早く進むとい
いですね。ところで大陸から連れてこられたとされる縄文犬は、古代犬である
パリア犬の子孫の一種でもあるらしいのです。パリア犬は今でも南アジアの村落に住んでおり、古代は主に狩猟犬として、鹿や熊などを狩るのに用いていたとみらています。バイカル湖付近から古モンゴロイドに連れられて南アジアにきたのかも知れません。
考えてみますと、犬が自分の意思で大陸を勝手に移動することはありません。まして単独で海を渡ることは考えられません。犬は人に伴って移動するのです。動物考古学の西本豊弘・国立歴史民俗博物館教授によれば、犬を見ていくことで、歴史の中での日本人の動きを探ることができるといいます。
2010年6月3日木曜日
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